「Trick or Treat! 今日はハロウィンですよ〜☆」 頭が沸いていた。 バイトでくたくたになってる大学生の俺、松浦俊の頭。それともドアのチェーン越しに見える女の子らしい物体。果たしてどっちが絶賛沸騰中なのか判らないが、とにかく今が草木も眠る丑三つ時なのは間違いない。 今という時が見ず知らずの人の家を訪ねることが出来るようなタイミングじゃないことは確かだ。 「間に合ってます」 「あ、ちょ、それは無いんじゃないかな? ってドア閉めるなこらっ! あーけーてーっ!!」 今日の教訓。非常識な時間に玄関のチャイムが鳴っても開けてはいけない。少しでも、だ。 でも開けちまったら教訓も何もあったもんじゃない。 「えと、まさか手を挟んだままドアを閉めるーなんて鬼畜なマネはしないですよね? せっかくこの土地に来たんだし、門前払いは無いんじゃないかな?」 あ、こういう場合って門前払いで合ってるよね、とぼそぼそとつぶやく彼女。 年は高校生……いや、中学生くらいか。やけに通る可愛らしい声が3階建てのアパートに響いていないか心配だ。 いや、声質が可愛らしいってだけで、言っている事もやっていることも論外だ。 つーか今俺は猛烈に後悔している。何で何も確認しないでドア開けるかな。 「何か知らないけど、こんな時間に知らない人の家のドアを叩くもんじゃないぞ。帰りなさい」 「えー、冷たいです冷たいですっ、ってゆーかTrick or Treat? 今日はHalloweenなdayってコトは知ってますよね?」 「っていうかお前誰」 「んー、ただの通りすがり」 「嘘つけっ!」 百歩譲って季節外れの黒のワンピースはアリとして、ただの通りすがりが講堂のカーテンに使えそうな黒生地のローブに目ン玉がほにゃらら〜と描いてある三角の帽子なんてしないだろう。 それに掃除もせんのにでかい竹箒。どこかの文化祭の余興じゃあるまいし。 「あーもー、めんどくさいなぁ、ていっ!」 「のわ!」 ぴんっと音を立ててドアを半開きに固定していたチェーンが外れてしまう。 俺が力を緩めていたのか、古びたチェーンが根元から抜かれてしまい、その隙にドアがぽーんと開かれた。 無論、その瞬間にずいっと彼女が敷居を跨いだのは言うまでも無い。 「あ、あのな、これ何かの罰ゲームか? あるいは文化祭のコスプレ準備とか、はたまた自称魔法使いが頭のネジぶっ飛ばして手当たり次第に家庭訪問してるとか」 「んー、三番目が近いけど不正解。っていうかHalloweenだし」 「……じゃ、そーゆー場合は飴玉上げれば素直に退散してくれるのか?」 「あー、誠意無いですよぉそんな言い方ー」 いきなり何だその言い草は。どこかの政治家か新聞記者か。 でもまぁ無い袖は振れない訳で、俺は大袈裟に肩をすくめて目の前の少女に対峙する。 生憎と最後のビターチョコは数分前に喉を通った訳で。 「っていうかあげられる菓子なんて無いけどな」 「うっわひもじいっ、ぽてちの一個もないわけ?」 「あんな塩と油の塊なんざ好んで食おうと思わん」 「えー、人生損してるー、なーんか生真面目が服着て歩いてる感じで、んっとそう、アレかなー、『彼っていい人なんだけど面白くないよねー、何言っても真顔で返されそうでー』なんて裏で囁かれてそう」 「なんでポテトチップス如きでそこまで言われなきゃいかんのだっ」 俺の言葉をよそに、身を乗り出して台所付近を覗こうとする彼女。 ワンピースの裾からちらちらと下着が見え隠れする。うん、下着も黒に統一してるらしい。無論発育途上という感じだが。 「探しても無駄だぞ、俺は嘘はついていない。ちなみに住居進入は犯罪だぞ」 「えー、お菓子をくれないのも犯罪だぞ?」 ぶーたれた口調で筋の通らない事をさらっと言ってのける。 やっぱり子供なのか。ていうかそろそろこいつの相手をしているのも飽きた。 「つーかそろそろ帰ってくれ、俺だって寝る時間だ」 「んー、えっと、お兄さん?」 「あ?」 「とりっく・おあ・とりぃと、って言ったよね?」 瞬間、びゅんっと風を切るような音がした。 次に何かが壁に叩きつけられる音。ぐわっと視線が飛ぶような感覚が残像のように目に入ってきた。 「ぐ、ぁ……っ!」 いや、残像そのものだった。俺は『何か』の力でダイニングの端から端まですっ飛ばされたらしい、と頭が処理したのは声を発した後。 背中を強く打ち付けられて軽く呼吸困難になる。玄関を見ると、彼女が丁寧に黒いローファーを脱ぎ、変てこな帽子を取って部屋に上がってきた。 金縛りに似た感覚が身体の動きを制限している。俺は壁にうちつけられたままの格好で動けずにいる。 「ふふっ、残念ですけど、イタズラ確定ですね」 気にも止めなかった彼女の黒髪が、下から風に煽られるようにそよぐ。 ショートボブといったような髪だけど、まさしく鴉の濡れ羽色なその艶はアジアンビューティーだかなんだかを想像させる。その艶は他の容姿と比べてえらく不釣り合いに大人っぽい。 髪がふわりと彼女の頬を撫でる。まるでスローモーションのように。 いや、実際は彼女が俺に近づいただけなのだだが。 「んー、お菓子をくれなかった分、食べちゃいます」 「っ!!」 まさに食べられた、と言っていいのかもしれない。 俺は、彼女に、唇を、重ねられた。 「っふ……ん、んっ……っ、くっ、ん」 それ以上のことも、それ以下のこともしない。ただ唇が重なっている。 舌を絡める事も無い。ただ零れ落ちそうな唾液は全て彼女に絡め取られ、俺の目の前で二つの喉が鳴り響く。 外見では想像もつかない、しっとりとした唇。妖艶に蠢くそれは中学生のテクニックとは考えられない。 「っ、くっ、んっ、んぅっ、ちゅる、ちゅく、んっっ……!」 吸い付き、離れ、啜られ、また吸い付かれる。 何度も何度も繰り返される唇の動きに翻弄される。 「っふ……ン」 2、3分か、それ以上か。 たっぷりと唇を塞がれた俺は軽く酸欠状態。 考えもまとまらないまま、擦り寄ってくる彼女の為すがままになっていた。 「んっとですね、さっき実は少しだけ嘘をついたんです」 「ぁ……」 「残念ですけど、イタズラ確定ですねーって言っちゃったけど、わたしとしては、こっちでも良かったりするんですよ?」 「う……ぁ……っ、か……」 吐息同士が絡み合う距離で囁かれる。が、俺は金縛りにあったまま身体の一部も動かせない。 言葉を発するのもままならない俺を余所に、彼女はにこっと笑いながら言葉を続ける。 「んー、やっぱりお兄さんのところで正解だったかも。一階だから下に迷惑かけることも無いし、部屋も奇麗だし♪」 そう言うと、彼女の人差し指が虹色に光った。 まるで幼児向けのアニメでも見ているかのような光が指から発せられ、星の形を模る。 と、ぱたんと音がして、彼女の後方でドアが閉じた。 ……誰も、触れていないのに。 外は夜風など全く無い、半月が綺麗な夜。 台風並の風が吹き荒れているならいざ知らず、結構重いドアがひとりでに閉まるはずが無い。 物理法則をすっ飛ばしたような事象が、俺の頭を更に混乱させる。 「……あ、もしかして、少し強くかけすぎちゃったかな」 彼女はそう言うと、えいっと小さく掛け声をかけた。目の前でさっき見た虹色の星が再び踊る。 すると、ふっと首から上の違和感が抜けていく。 「んー、これでまたお話が出来ますねっ」 「っ、は、はぁっ、ふざけろ馬鹿野郎っ、もう少しで酸欠で死ぬところだったぞっ」 「だからぁ、こーやって喉も口も舌も解放してあげたじゃないですかぁ」 「そうじゃねぇだろう! ってかやっぱりこの金縛りもお前の仕業かっ!」 「んー、金縛りなんて俗世的な表現使わないで下さいよー。せっかく妖精のみんなといっしょにお家に来たんですから、ね?」 「妖精……だって?」 いかん、頭と言葉だけが自由になったせいなのか、脳の中が沸いてきた。 目の前で起きた非科学的な現象、そして今度は妖精だ? 「あー、信じてないって顔してます」 「ったり前だろうが、大丈夫か俺もお前も? ここ21世紀の日本だぞ? 中世ヨーロッパと訳が違うんだぞ?」 「あは、知ってるんですかぁ? あの頃は良かったなぁ、森も木もいっぱいあったし、仲間もいーっぱいいたし」 「……あ?」 「それに、子供も美味しそうだったし」 「な……っ!」 つ、と俺の顎に手が添えられる。 人肌の温もりはある。俺と殆ど同じ体温だ。 なのに、ぞくりと背筋が震えた。 「だけど、この頃やりづらくなっちゃって。この国の土地柄なのかなー?」 んー、と人差し指を口元に置きながら、彼女が言葉を続ける。 「この前だって子供に近寄ったら、いきなりふゅいふゅいふゅいふゅい〜〜! って大きな音してさ。遊ぶとかからかうとか、そんな雰囲気じゃないんだもん」 ああ、それ防犯ブザーって奴だ、きっと。 子供は喜びそうな服装してるのになお前。 きっと行いが悪かったんだろう。さもなきゃ夜の真っ只中に子供襲ったとかな。 ……今、襲われてるのは俺なんだが。 「だぁからぁ、標的変更したんです。ちょーっと抜けてるお兄さんに。ね、みんな」 ……みんな、だと? 耳を澄ますと、くすくす、くすくすと、目の前の少女より更に3、4歳幼い女の子のような笑い声が聞こえてくる。 しかも、複数。 俺の右手、左手、そして両足、首元。 「ね、みんな、ちょっとだけ鮮度は落ちるけど、今日はご馳走だよ」 「……っ!!」 「だぁいじょうぶだよぉ、命に別状は無いから……多分、ね」 段々と目が肥えてきた。いや、彼女がいるから、それらが見えたのかもしれない。 "金縛り"と思っていたそれは、""妖精"なるものが俺をがんじがらめにしていたものだった。 「じゃ、みんな、いたずらして、頂いちゃおう♪」 『はーいっ♪』 やばい。聞こえた。 はっきりと聞こえた。 気がつくのが遅かったのかもしれない。 こいつら、俺を食う気……なの、か? 「お、俺なんか食っても美味くねぇ、ぞ?」 「んー、お肉は傷つけませんよ? あ、髪の毛とか内蔵とかもだいじょぶです。わたし達、人間の、ううん、お兄さんから出るあらゆるものが食べ物になりますから♪」 「っ!!」 服を着たまま、両手両足にむず痒い感触が走る。 手足がどうにもならない分、耳だけが自由になるせいか、さっきよりはっきりと『声』が聞こえてくる。 くすくすくす。うふふ。ちゅぷ。にゅぷ。ちゅっ。くちゅ。ふふ。フフフ。フフフフフフフ。 微かな笑い声と、確かな水音。 指という指、手も足も構わず先っぽから何かが吸われていくような感触。まるで毛穴という毛穴を一つずつ舐めまわされるかのように、うっすらと見える『何か』が蠢いている。 「っ、く、ぁ、おまえ、ら……っ!」 「あ、お前らって事は、妖精さん達のこと見えてるんですね。んー、お兄さん、素質あるかも」 「な、なんのだよっ」 「んー、私たちとお友達になる素質?」 「ただ捕食されるだけの存在がお友達ってんなら、願い下げだぞ……!」 「あー、つれないですっ、こんなにきもちいいイタズラなんて他に無いのにっ」 ふわりと生暖かい風が吹いたと思うと、首筋に身体を預けていた妖精がにこりと微笑む。 こいつらの身長は20センチちょいというところだろうか。手のひらより少し大きい程度だ。 ……けど、例え手が動いたとしても捕まえる事はおろか、触る事も出来ないんだろうな、とおぼろげに思った。 これからの展開が、なんとなーく読めた。 今の時期にそぐわないワンピースはノースリーブでスカートもえらく短い。 外見とは裏腹の濃厚なキス。今"妖精さん"達が俺にしていること。 ……きっと、いや、間違いなくそれなんだろう。 「くすっ、思ったより、ううん、充分美味しいですよお兄さんっ」 「……あ、あんま嬉しくねぇぞ……」 「ううん、わたしは嬉しいんですよ? 妖精さん達も喜んでますし」 「お、俺の意見は無視かよ……っ」 「んー、でもですね?」 さわ、と下腹部に今までになかったような痺れが走る。 身体を寄せてきた彼女は右足を俺の足の間に差し込むと、ジーンズの上に右手を置いた。 そのままゆっくり、ゆっくりと手のひらを上下させる。生地を撫でる音が生々しく耳に届いてくる。 「ここは妖精さん達じゃ余っちゃいますからぁ、わたしが頂いちゃいますね?」 「っく……ここ、でっ、止めろって言ったら止めてくれるか……?」 「んー、それ無理」 どこかで聞いたような断り方だ。 しかも今俺は、梃子でも動かないような断られ方をしたぞ。 「だってこんなにしてるんですよぉ? すっごく溜まってそうですし、美味しそうだし。これ逃したら勿体無いですよ?」 「それはお前が、だろうに」 「そうです♪」 ジ、と軽く音を立てるジーンズのジッパー。 その中は……皆まで言うな、ちくしょう。反応しちまってるよ。 外見は中学生、言ってる事はつかみ所が無く、虹色の星で俺を押さえつけている奴のせいで。そいつと一緒に俺を舐めまわしている妖精とかいう奴らの舌のせいで、確実に俺のモノは反り上がるくらいに大きくなっちまってる。 「っ、ぁ!」 「んふー、お兄さんも色っぽい声出しますねぇ」 「ば、馬鹿野郎……っ、そんなこと……」 「ありますよ、ね?」 手を舐めまわしていた妖精がもぞもぞと服の中を進んだと思ったら、今度は鎖骨と胸元、両方を刺激してきた。 ちゅくちゅくと音を立てながら、美味しそうな顔をしながら。 ちろ、と胸元から胸の先へ舌が移動する。 「っ、おま、えら……!」 「っふふー、あ、言い忘れました。ちょっとだけですけど、私たちの唾液って興奮作用があるんですよー」 「な……それってかなりのドーピングじゃないのか」 「ちょっとだけですよー。お兄さん達人間の唾液が食べ物を消化する手助けをするくらいの、ほんの気持ち程度です」 はっきり聞いた。 お兄さん達、人間の、ときた。 人外確定。うん、今日が俺の命日じゃないといいけどな。 田舎のお袋、何かあったときはすまん。 「で、それの成果がこれな訳です」 ジィィィィッとあからさまな音を立てて、ジッパーが下ろされる。 トランクスといっしょに勢い良く出たそれに、まるで壊れ物を扱うように丁寧に両手を添えていく彼女。 「んふー、じゃぁみんな、メインディッシュはわたしがー」 胸元でごそごそとやっていた連中から、えー、とかぶーぶー、とか反抗的な声が聞こえてくる。 「焦らないでねー、後でちゃんと分けてあげるから」 しゅっ、しゅっ、しゅに、しゅに。 そう言っている間にも、俺のモノが下着と一緒に扱き上げられる。 その一挙手一挙動ごとに、頭の中にピンク色のもやがかかっていくような幻覚に襲われる。 為すがまま、為されるがまま、ただ身体だけが反応してしまう。 「じゃ、いただきまーすっ」 あーん、と声を出しながら、下着越しに怒張の先端を含む彼女。 さっきと同じ。仕草は無邪気そのものだ。 だけど。 「っ、あ!」 「んふー、やぁっぱり可愛い声ー、男の子にしてるのは勿体無いくらいー」 「ちゃ、茶化すな……っ、っぐ……ぅ!」 「だぁめれふよー、すなおになっれくらひゃいー」 咥えられたまま、彼女はじっと動かない。 その間にも身体のあちこちで小さい舌が踊っていく。 膝の裏、腰、鎖骨、胸板と、くすぐったい皮膚感覚が、最後には咥えられているそこへ直結する。 やばい。 想像以上に、いや、身体がどうしようもないくらいに昂ぶり始めている。 端的に言うと、気持ちがいい。 「んふー……」 じわりとトランクスが彼女の唾液で濡れていく。 なんだっけ、弱くても興奮作用があるんだっけ、これ。 そう霧がかかった頭で考える。けど、目の前のこれはどうにもならない。 「んむぅ……っ、ふんっ……」 「っあ、ああ!」 猫のようにざらざらとした、だけど充分に女性のように艶のある舌が怒張の頭を一撫でする。 ……それだけ、だと思う。けど、それだけで頭の中にあったピンク色のもやがスコールになって全身を襲った。 「お、お前……っ!」 「んふぁ、ふぁんひひゃっれいいんれふよー?」 「だ、だめ、もう、やめろ……っ!」 「らぁめれふっ、んちゅ……んっ、んっ、んふ……っ!」 何度も確認する。俺はトランクスをまだ穿いているんだ。 けど、モノに感じるこの気持ちよさは自慰の感覚をはるかに凌ぐ勢いだ。 「ン……っ、お兄さん、凄いです……匂いだけでくらくらしちゃう……ん……っ、ふっ、ちゅ、ちゅくっ、ぺろぉ……っ」 「っぁ……あっ!」 「ちゅ、ぢゅぅぅーっ、ん……ッ、あ、も、もしかしてお兄さん、こういうことされるのってはじめて……?」 「っ、ほっとけ……っ!」 湿った生地越しに、ちゅ、ちゅっと音を立てて舌が規則正しく動く。 その度に膝ががくがくと震える。身体のあちこちから聞こえてくる湿り気を帯びた音が、気持ちよさを増幅させてしまう。 「っん、ン、ンっ……っぷ、ちゅ、ちゅにゅ、っちゅくっ、ぷ、ぁン、ん……ぅっ……あ、もうそろそろ、いいかなっ」 膝をついて俺のモノを玩んでいた彼女がそう言うと、ふっと身体から力が抜けた。 その拍子に、立っていられないほどの気持ちよさがそのまま俺の腰をくだけさせてしまう。 へたっと床に座り込んでしまう俺に覆い被さるように、彼女が圧し掛かってきた。 「ね、もう逃げたりしないですよね?」 「それどころじゃ無い……って、俺は最初から逃げてねぇ……」 「あ、あれ? そうだったっけ? まぁ気にしなーい、気持ちいいんだし♪」 右手、左手、それに足……感覚は、ある。"妖精さん達の金縛り"は解けたらしい。 彼女は座った拍子に捲れあがったスカートの裾を気にする素振りも見せず、俺の右足にまとわりつくように身を寄せてくる。 ノースリーブからうっすらとくぼんだ鎖骨と、僅かな胸の谷間が見えてしまう。 性懲りも無く俺のモノは、その視覚に素直に反応してトランクスをより一層押し上げた。 そうこうしているうちにベルトが難なくするりと抜き取られ、下着に手をかけられる俺。 ああ、これから本格的に食われるんかな、と思った。 「な、なぁ」 「んー、なんですかぁ?」 「お前、名前何ていうんだ?」 「ふえ?」 何とか動いた右手で、彼女の髪を梳く。 素っ頓狂な問いかけだとは思う。けど、せめてこれくらいははっきりしてもいい、と思いたい。 「わ、悪いな。こーゆーコトを見ず知らずの奴とするってのは、どうしても気が引けるんでね」 「……」 「お前がどんな奴かなんて知らなくていいや。何か言われてもかえって混乱しそうだし。けどよ、本当に何も判らないままってのは気持ち悪いからな」 上目遣いに俺を覗き込むようにしたまま、彼女は首をかしげる。 「……んー、お兄さん、何か変?」 「あ?」 「お兄さんが特別なんですよぅ。ってゆーか変わってるっ。すぐにみんなを見つけちゃうし、それに今でもこんなに落ち着いてるし」 「落ち着いてなんてねぇって、今だって心臓すげぇことになってるし、ソレだって大きくなりっぱなしだっての」 「ううん、今まで食べてきた子達はね、怯えるか、それとも力づくで私を押し倒してヤっちゃうか、どっちかだったもんっ」 力づくでどうにかなっちまうのか、この妖精さん達は。 っていうか俺にはこんな子を押し倒すなんて無理だ。外見中学生なんだぞ。乗っかったら潰れちまうんじゃないか。 「あ……」 と、髪を梳いていた手が頬に触れた。 少しだけ上気している肌は、人間のそれと何ら変わりが無い。 「あ、わ、悪い」 「……やっぱり、変わってる……」 「……?」 「……」 束の間の沈黙。 そっと触れた右手に、まるでじゃれる猫のように頬を擦り付けながら、彼女は口を開く。 「……あいり」 「漢字は?」 「わかんないから、適当でいいです」 「なんだ、それ」 「本当はもっとながーい名前があるんですよ? でも、呼び辛いと思ったから、今そうしたんです」 「……そっか」 今どきの漢字のつけ方だったら、愛璃とでも書くだろうか。 不思議なもので、名前一つで奇妙な安心感と親近感が沸いてくる。 これすらも彼女の、いや、愛璃の狙い通りなのかもしれないけど、それでもさっきまでとは気持ちよさの質が違う気がした。 そんなことを感じ取ってか、愛璃が下に、詳しくは俺のモノに視線を落とす。 「……名前」 「愛璃、だろ?」 「んー、そうじゃないです、お兄さんの名前、何ですか?」 「あのな、それ見ながらそういうこと言わないでもいいだろう」 「……おいしそうなんだもん」 「こら」 こつっと頭を小突くと、恨めしそうにこちらを向き返る愛璃。 ……必然的に上目遣いになって、しかもまた胸の谷間が見えて、大変な事になってるんだが。 「……俊。漢字一文字で、人偏のやつ」 「んー、漢字って判らないですけど、としさん、でいいんですね?」 「ああ」 彼女の目線とその無防備な谷間に、何か気恥ずかしさを感じてしまう。 ふと気づくと、周りの妖精なんだかも動きを止めて俺たちに注目中。 ……あー、何と言うか、かなり恥ずかしいぞ、これ。 というか、完全に人外の彼女にここまで気持ちを許してしまう俺が不思議だった。 「それでは、としさん」 「ん?」 躊躇いも無くトランクスが下ろされると、ぶるんと音を立てるかのように反り立ったモノが空気に晒される。 これまた躊躇いも無く、愛璃はそれの根元をきゅっと握り、顔を近づけていった。 「わたし、さんっざんお預け食ってたんですけどぉ、そろそろいいですよねー?」 「……お手柔らかに頼む、な」 「んー、だめです、いっぱい出して欲しいから、ちょっと強くやっちゃうかもしれません」 「あー、それくらいならいいや」 「……」 しゅっ、しゅっと鞘を扱かれ、筋張ったところを親指で刺激される。 「やっぱり、としさんってちょっと変ですよ」 「そうか?」 「ふふっ、私も、みんなも、ちょっと好きになっちゃいそうです」 そんな一言が合図になったのか、くぷ、と音を立てて彼女の口が俺のモノを含んだ。 かなり、いや、彼女の小ぶりな口からして相当の大きさになっているだろうそれを、愛璃は全て飲み込んでいく。 「んふゅー……おいひい……ひゃぁわせぇ……ふぇ、ふぃんふぁふぉ……」 「落ち着け、そんな頬張りながら喋らなくても……」 「ふゅー、ふぇも、ひもひよくないふぇふふぁ……?」 気持ちよくないですか、という問いに首を横に振るわけが無い。 もごもごと顎を動かされる度に、ぴりぴりと甘ったるい刺激が襲ってくる。 ……恥ずかしい話だけど、女性にこうして貰うのははじめてだ。 というか性体験ですら数えるほどの俺は、今まさにこの刺激だけで達しそうになってしまう。 「……あ、あのな、もう少しお手柔らかに頼むわ」 「っぷ、ン……っ、どういうこと、ですか?」 最初の一舐めを終えたのか、少しだけ満足そうな、そして少しだけ怪訝な顔をして、一度それを口から話す愛璃。 その間も手は動きを止めてくれない。っていうかさっきまで咥えられていたから指先が唾液と絡んでますます気持ちよさが増してしまう。 「な、なんつーか、俺も気持ちよすぎてすぐにイっちまいそうなんだよ、だから……」 「んー、気持ちいいならいいじゃないですかー」 「い、いや、すぐに出しちまうのは男としてどうなのかっていう問題で……って、こ、こら!」 きゅっと根元を掴まれる。いつの間にか寄り添ってきた周りの"妖精"達もそれに加わっていく。 「せっかくお口で迎えにいってるのに、無理に我慢されるのもどうなのかっていう問題だと思いますっ」 「って、おい……っ、く!!」 れるん、とカリ首を一舐め。更にシャフトの横かられろれろと舌を這わされる。 フルート舐めとか言うんだっけ、これ。 無駄な知識だけが頭の中に浮かんでいく。だけど気持ちよさは変わらない。いや、何故か具体化されたことでより一層快楽が増していく感じがする。 と、そんな俺の脳内を判ってか、愛璃は再び亀頭に口付けてちろっとその入り口をくすぐる。 黒ずんだモノに瑞々しい桃色の唇というコントラストが、不釣り合いで、淫らだ。 「んー、今度はみんなで楽しんじゃいますからー、遠慮しないで感じちゃってくださいねー」 「皆でって、おい……」 「ンー……っ♪」 ぬぢゅっという生々しい音と一緒に、愛璃の口で俺のモノが根元まで隠される。 いつの間にかYシャツのボタンが外され、その隙間から妖精さん二人が出たり入ったりしていた。 下に着ていたTシャツまでめくり上げられ、左右の胸の先に吸い付かれるような感触がある。 かと思うと、愛璃が食いついた根元にまで同じような感触。 なんというか、玉袋……だっけ、それでいいんだっけ。そこにくすぐったいような、むず痒いような感じが水音と共に起こっている。 「っわ……ちょ、ま、まて、ッ!」 「だぁめれふー……っ、ン……っ、ちゅぷっ、ちゅぅっ、ぺろ、ちゅにゅ……っ、んっ、んっ、んんぅ!」 俺の抗議もどこ吹く風で、愛璃が頭を上下に振り始める。 的確に俺の筋を捉えて時には強く、時には優しく舐め上げる舌。 唾液が滴り落ちるのも気にせず、絶え間なく竿に吸いついてくる唇。 皺の一つ一つをほぐすように舐めてくれる竿元の妖精、まるで女性にそうるように乳首に絡んでくる胸元の刺激。 一つ一つの甘く痺れた快感が、全て性欲になって俺を襲ってくる。 くぐもった声と一緒にふぢゅ、ふぢゅと湿った音を立てながら、愛璃のフェラチオはゆっくりと激しさを増していく。 「んふ、ぁ、っむンっ、っ、ぁあっ……っぷぁ……っ、うわぁ……染み出てきた、としさんの、染み出てきたぁ……」 ぬらりと光ったシャフトの上がじんわりと濁る。先走った欲望が滲んでいた。 「ん、いただきまぁす……っ、ぺろっ、ぺろ……っ、ちゅ、ちゅむっ、ン……っ」 愛璃は輝くような目つきでそれを舐め取っていく。 小さな舌でその頭をつつかれ、尿道口をくすぐられ、またカウパーが溢れる。その繰り返し。 「んーっ、んーーーっ♪ やぁっぱりおいしい……ね、ね、としさんのって特別?」 「んな訳無い……と思うけどな、ぁ……っ!」 無邪気な彼女を余所に、俺はもう限界に達しようとしていた。 ちろちろと我慢汁を舐め取られているこの瞬間も、4人の妖精は俺を玩ぶ舌の動きを止めない。 それぞれがうっとりとしたような吐息で、休むことなく俺への口付けを続けてくる。 でも、愛璃はさっきから溢れてくる我慢汁を掬い取ることに夢中で、決定的な刺激を与えてくれない。 ……もしかして、焦らされてるか、俺? 「あ、あのな、愛璃」 「んー?」 「そ、そろそろ、俺な」 「んー、なんですかぁ?」 ちろちろ、ちゅっ、ちゅっ。 そこかしこで響く小さい刺激は、より一層俺を焦らしてくる。 ここで愛璃の頭を押さえつけて無理矢理口に怒張を押し込む事だって出来る。けど、それは絶対にしたくない。 どうぞヘタレと言いいたきゃ言ってくれ。 けど、無理矢理って言葉はセックスにはそぐわない。これは俺の信念だ。 『貴殿は優しいのだな』 「っぁ……?」 どこかで声がした。正確には、俺の胸元から。 左胸の、捲られた服の脇にいる妖精……が、俺の目を真っ直ぐに見ていた。 『少し、姫にも刺激を与えてやって欲しい』 「姫……って、愛璃のことか?」 返事は無かった。が、その後すぐに胸の水音がまた二つになった。 俺を見ていたかのように振舞っていた妖精は、胸元を舌で優しくくすぐってくれる。 実際にそいつが言ったのか判らない。俺の勝手な幻想かもしれない。 だけど、そうだよな。俺だけ気持ちがいいってのも不公平だろうし。 丁度愛璃は、俺の右の腿に乗りかかるような姿勢でいる。俺はもぞりと足を動かした。 「っ、ふぁっ!?」 すねがスカートの下に入り込み、僅かに愛璃の足の付け根を掠めた。 ちらりと見えた黒とピンクのストライプの下着。その中心が熱を持っていた。 なんだ、これ。 びしょ濡れ……じゃ、ないか。 「ふ、ぁ……! や、としさんっ、わたしに何かしたの……っ!?」 「お、おい……!」 「だ、だって、いきなり、いきなりこんな……っ! うそ、わたし、凄い濡れちゃ……っ、くぅンっ!!」 いきなりの豹変ぶりに驚いて、思わず上体を起こそうと足を上げてしまった。 その足がまた愛璃のショーツを擦ると、より一層甘い声がリビングに響く。 「……愛璃、感じてる?」 「う、うんっ、なんかすごい、急に中がきゅんって熱くなって、としさんの足が当たってぇ……っ、んぅ……っ、としさんの、飲んじゃったからかなぁ……」 さっきまでのいたずらっ娘はどこへやら、だ。うるうると瞳をうるわせる表情は恥じらいと戸惑いが混じっていて、控えめにもぞもぞと動く腰は快楽が理性とせめぎあってる感じさえする。 愛おしさにも似た感情が俺のどこかで生まれる。 ぽん、と彼女の頭に手を乗せると、ひゃぁ、という短い悲鳴が返ってきた。 「今したいと思ってること、何をしてもいいぞ? その代わり俺のも、な」 「う、うん……っ」 ほんの少しの躊躇いがあった後、愛璃は俺の足に身体を密着させて、腰を僅かに突き出した。 ショーツとジーンズの生地越しにも熱が伝わってくる程に、そこは溢れている。 ワンピースのスリーブは捩れて、肩口がまろび出ていた。 「愛璃、お願い」 「ん……とし、さん……っ」 ここだけ見るとどこの彼氏彼女の関係だろうか、と思う。 愛璃は俯きながら、柔らかいスリットを足にあてがって、二度、三度と腰を揺り動かす。 そうすることに若干躊躇いながらも、俺は足の指でそこをゆっくりと擦り上げた。 「ひゃ……!」 「ね、こっちも」 「ん……ン……っ」 前と同じように、小さい口を大きく開いて俺のペニスを咥え込んでくれる。 自分の快楽とせめぎ合いながら、愛璃はより一層大胆に舌を這わせてくれる。 周りの小人たちもそれに合わせて、あちこちで俺を昂ぶらせてくれる。 「んふ……っ、んっ、んく……っ、っちゅぷ、ちゅぷっ、ぢゅぅっ、ぺろ、るろ、んちゅぅっ、んふ、ん、ンッ、んんんぅ……っ!!」 「あ、愛璃……っ!」 「んぶ……っ、っぅ、っン!!」 頭を撫でていた右手に思わず力が入る。深く深く愛璃の口腔に男性の芯が打ち付けられる。 それでも構わず、愛璃は涙目になりながらも頭をひっきりなしに上下させる。全身をくねらせ、腰を蠢かして、彼女のそこを溢れさせ、俺のモノを極限まで張り詰めさせる。 絶え間無い舌と唇の動きに、我慢汁を垂らしつづけていた俺が耐えられるわけがない。 背筋にびりびりと痺れが走る。止まれと言っても止まらない合図だ。 「んっっくぁ……っ、んぅっ、で、出そう……?」 「あ、ああ……」 「うんっ、美味しいの、いっぱい出してください……っ」 何度も見た妖艶な微笑みが、痺れを加速させる。 微かに喘ぎ声が漏れるのも構わず、俺はその快楽を受け止めた。 「っ、ん、んっ、んぐ、ちゅぐちゅぐっ、んぷぁ、あ、ンむぅっ、んくっ、んぐっ、ん、ん、んっっっ!!」 「っぁ……! 出る、ぞ……っ!」 何度も何度も往復する愛璃の舌がもごりと口内で蠢いたかと思うと、竿の根元から強烈にきゅぅっと啜られた。 瞬間、どくんと音を立てて、欲望の堰が決壊する。 「ん、くっ、っぁ!!」 「ん、んんんんぅぅぅっっっっっ!!!」 どくんっ。 どくんっ、どくんっ、どくんっ!! いつもでは考えられない激しい性衝動が腰を通り抜けていく。 何度腰をわななかせても止まらない。精液がこれでもかというくらいに放出される。 「んくっ、んく……っ、っぷぁ、んぐっ、こくっ、こく……っ!!」 一滴も逃さないようにと喉を鳴らしつづける愛璃。頬を紅くして、いや、身体を火照らせて、彼女曰くのごちそうがずるりと愛璃に飲み込まれていく。 一回、また一回と腰が跳ねる。彼女はいつまでも口内のモノを離そうとしなかった。 「っ……ぷ、ぁ……すご……っ、あつあつの、とろとろ……っ」 律動が終わってしばらくして、精管に残った液体という液体を全て搾り取られた後、ようやく愛璃は幾分元気を失ったそれから口を離した。 一緒に俺を責め立てていた妖精とやらが、愛璃の下へ寄っていく。 「え、えへ、みんなぁ……ほら……」 「っ、な……っ」 率直に言おう、うん。驚いた。 愛璃が口内に残していた俺の精液を、口移しで妖精達に分け与えている。 しかもご丁寧に舌先にそれを乗せて、まるで親鳥が子供にエサを与えるように。 あれって、相当苦いんじゃなかったっけ? 舌先って味を感じる器官が最も密集しているところだって、何かのテレビで見た記憶があるぞ? ……やっぱり、相当に人外なんだな、この子達。 いやいや、なんだ、どうした俺。馴染んでどうするよ。これでイタズラとやらは終わりのはずだろ? 名残惜しい気はするけどな。うん、少し情に流された気もするけど、これくらいで終えたほうが後腐れが無くていいだろうし。 すとん。 ……。 すとんっ? 「んー、だめですよー、終わったぁーって顔しないでくださぁいっ」 「んな……っ、ちょ、ちょっと待てお前っ」 「あー、さっきまであいりって呼んでくれてたのにぃ、いきなりお前って酷いですよ?」 「だ、んな事どうでもいいだろうっ! いいからぱんつ穿けっ! 穿き直せっ!!」 「やです」 「あ?」 そう、すとんと彼女のショーツがフローリングに落ちていた。 彼女自身が脱いだのは言うまでも無い。そして、事もあろうにその状態で、下半身がまっさらの状態で俺に馬乗りになっている彼女。 後腐れがどうのという状態じゃない。より悪化というか何と言うか、ともかく泥沼化してることは確かだ。 「ぱんつ穿いたままだと風邪引いちゃうくらい濡らしてくれたの、としさんじゃないですかぁ」 「……っ、けど」 「で、としさんは気持ちよくなってしゃせーしちゃったけど、わたしはまだ満足してないんですよ?」 「う、ぁ」 痛いところをがしがしと突いてくる。 っていうか最初に不法侵入したのはそっちだし、イタズラっつー理不尽なことを言い出したのもそっちだ。 ……けど、言えない。このうるうるとした瞳に、そんな事を言える空気じゃない。 ああっくそっ、どーせヘタレだよ俺はっ。 『色々と煩悶するのも、それも若々しくて好感が持てるというものだな』 「……な?」 また、今度は耳元から愛璃とは別の声がする。 さっき聞いた声だ。声量は小さいが、芯の通った大人の女性という感じの声。 妖精だか小人だかのうちの一人がこの声の持ち主のはず。 『ただ一回の口淫で、ここまで私たちの姿が現実化する、か。姫の嗅覚には恐れ入る』 前より幾分、いや相当にはっきりとこの"妖精さん"の姿が見える。 声の通りに落ち着いた物腰の女性だ。身長20cm余りということを除けば。 『だが、あそこまで情熱的に姫の口淫を求めたというのに、今になって腰を引かずともよかろう』 「えっと、さっきも俺は君の声を聞いたと思うんだけど、ぶっちゃけ、誰?」 『姫の筆頭従者、だ』 つい今しがたまで自分の身体をまさぐっていた本人が、従者なんて自己紹介をしやがった。 あながち愛璃の"姫"という二人称も嘘じゃないのかもしれない。 が、その言葉は愛璃と同じでどこか調子が外れている。 「従者が姫の身体を汚すことを容認するわけ?」 『……貴殿が抱く女性は、すべからく穢れるのか?』 「そう言ってるんじゃなくて、な……」 従者と姫、という関係がどこまで本当なのか、いや、今起きていることすら現実なのかが疑わしい。 ってゆーか、ハロウィンってのはこんなにもファンタジーでエロスなものなんだっけ? いや、こいつらの貞操概念がどこかおかしいんだ。大体強引に押し入られて身体を迫られるなんざ、よくよく考えてみれば強姦以外の何者でもない。 「ねぇ」 「う、わ!」 そうこうしているうちに、愛璃が大きく足を開いて俺の腰を跨ぐ。 ちゅ、と湿った音を立てて、俺と愛璃の性器同士がキスをするように接してしまう。 「このまま……いいですか?」 「ちょ、待てって」 「待てないですよぅ、わたしがこんなになってるのに、お姉ちゃんとばっかり喋ってて酷いです」 「お姉ちゃんって……もしかして、あいつ、か?」 お姉ちゃんと言われても、俺がこの場で話した奴は愛璃以外にあいつしかいない。 『あいつ、とは酷い言われようだ』 「っ!」 そう、物静かながら人を威圧するようなこの"妖精"だ。 俺の肩に乗り、耳に直接囁きかけるように話してくる彼女は、色香を放つ愛璃と対照的だった。 『いい加減、覚悟を決めて頂きたい。姫がそれを望んでいるのでな』 「だ、だからよ、お前も従者なら姫とやらの暴走を止めるのが筋ってもんだろうが」 『無粋なことはしたくないのでな。第一、貴殿は今の姫を拒めるのか?』 「……っ」 目と目が合う。困惑した目と、期待と恥じらいを交えて懇願する目。 「なぁ、愛璃」 「ふぇ……っ?」 「これも、悪戯、なのか?」 「んー、思いっきり本気のイタズラです」 うろたえているのは俺のほうだ。 本気の悪戯? 違うだろ。そうじゃないだろ。 「……俺のこと、好きか?」 もう、自分勝手だと笑えば笑え。指差して笑ってくれていい。 だけど、せめて薄皮一枚の信念くらい俺に貫き通させてくれ。 軽い気持ちで、肌を重ねたくない。ただそれだけのことだ。 「んふー……」 「な、なんだよ」 ふと、愛璃が微笑む。 今までに無い、悪戯っぽい感じでもない、妖しい色も見せない、ただただ満足そうな笑み。 俺が添えた右手に、じゃれつくように頬を寄せる仕草をまた見せる。 「としさんのせーえきが美味しいのって、だからかもしれませんね」 「え……?」 「すっごく勢いいいんですけど、優しい味がするんですよ?」 そう言うと、愛璃はぐっと腰を落とす。 「そういう優しいとこ、わたしは好きですよ」 「……愛璃……っ」 屈託の無い笑顔が、純粋な笑顔が俺の心を掻き乱してくれる。 いや、乱されているのか、絆されているのか判らない。ただ、その微笑みに嘘が無い事は、判る。 ぬちゃり。 竿の頭が、熱い泉に埋もれていく。 「ん……ぁ、っくぁ、あく……っっっ!!!!!!!」 もう、愛璃を拒めない。拒むつもりもない。 短く息を飲むような声と共に、お互い座ったままに腰と腰とが密着した。 ずぷりと根元まで愛璃の膣中に入り込むと、そこにたっぷりと蜜が絡みつき、ぬらついた腟壁が時折きゅっ、きゅっと俺を歓迎してくれる。 「ふ、ぅ、ぁ……っ、やっぱりすごい……っ、あつくて、かたくて、優しくて、私の中でびくんびくんってしてて……っ!」 恍惚の表情を浮かべながらぺたんと座り込む愛璃。幼い顔立ちから切なそうな吐息が漏れる。 ワンピースは腰までずれ落ちて、起伏の少ない胸が露になっている。 その柔らかそうな身体に極力負担がかからないように、そっと手を添えて、支えた。 「愛璃」 「な、なんですかぁ……っ」 「膝、痛くないか? 下フローリングだし……」 「ん……っ、そうですね、なら……っ」 ふわ、と星が浮かぶ。 今までに何度か感じた、物理法則を無視した力が俺たちの下で働くのが判る。 何かがむくりとせり上がったかと思うと、次の瞬間には背中に柔らかい感触があった。 ファンシーな薄桃色のカバーをかけたそれは、どこの低反発マットよりも身体に馴染んで俺たちの体重を支えてくれる。 「これで、いいですよ、ね……?」 「……ああ、どんな仕組みか判らないけど、な」 「ふふっ、これもイタズラのうちです」 「本気の?」 「はい、本気の……んっ!?」 本気、なんだろ。 なら、俺も本気になってもいいだろ。 ぐいっと愛璃を引き寄せて、おもむろに唇を重ねた。 とん、とんっと愛璃の柔らかい唇をノックして、うっすらと開いた先に舌を滑り込ませる。 頭の中の知識を総動員して、愛璃の唇を、舌を、口腔を舐め上げる。 「っう……っ、っは、ぁ、っ、としさんっ、これ……ん、むぅっ!!」 戸惑う仕草を見せる彼女を落ち着かせるように、髪を梳きながら更に愛璃を抱きしめる。 歯茎の裏、奥歯の一つ一つまで、口内を余すところ無く舌を行き渡らせる。 最初のキスとは違い、混ざり合った唾液がお互いの喉を濡らす。舌と舌とが絡み合い、湿った吐息が唇を伝って頬を熱くする。 ディープキス。その言葉がぴったりだ。 下で愛液にまみれながら繋がっている箇所よりも、唇同士、舌同士が身体を熱くする。 「っふ……ンっ、んふぅっ、っちゅ、ぢゅぅぅっ、ちゅっ、っむぅっ、っくぁ……っ、とし、さんっ、んく、んむ、っぅぅぅぅっ!」 このようなキスは慣れていないのだろうか。最初に唇を合わせた時とは違い、二人の口腔では俺の舌につられるように愛璃の舌が行き来する。 それでも最初の戸惑いが抜けてくると、次はここ、次はここがいい、と愛璃が主張するようになる。 円を描くように腰が蠢き始める。密着した胸の先はぴんっと張っていて、こりこりとした感触が擦れる度に身体がひくんと反応する。 これも愛璃の食事なのだろうか。こくりこくりと俺の唾液を飲み干すたび、表情がとろとろになり、愛液が滲み溢れていく。 「っふっ、んちゅ、くちゅっちゅっんちゅっちゅむっ、んっ、んむ……っ、っ、ぁ、ひぅっ!!」 たまらず、とんっと腰を揺り動かした。 途端に響く愛璃の声。ぐちゅっと大袈裟な音を立てて溢れる泉。何枚もの舌に絡みつかれるような感触が俺のモノに襲い掛かってくる。 セックスにも身体の相性があるって聞いたことがある。 もしそれが本当なら、多分愛璃と俺とは最高の相性なんだろう。 「っひ……ぁっ、と、としさぁんっ……!」 「ああ、動くぞ……っ」 とん、とん、とんっ。ぱん、ぱん、ぱんっ、ぐちゅっ、ぐじゅっ、ぐぢゅっ。 一度動かし始めた腰は、ただお互いに気持ちよさを求めて動き続ける。 ワンピースは腰に引っかかってしわだらけになっていて、所々愛液が染み込んでぬらぬらと光っている。 華奢な身体が折れちまうんじゃないかと思うくらいに、大胆に腰を動かす愛璃。 ぎりぎりまで引き抜いて一気に突き落とす、そんな上下運動が繰り返される。 「ふ、ふぁっ、ああっ、な、なに、としさんっ、としさんっ!」 「愛璃……大丈夫か……?」 「うん、うんっ、すご、としさんのっ、きもちいいですっ、っ、ぁ、はぁっ、きゃふぅぅっっ!!」 愛璃の手が首に回る。ぎゅっと抱きしめられる。 耳元で漏れる喘ぎ声。夢中で俺の首元を舐める仕草を見せる彼女。 『凄い……ここまで姫が乱れるのは、はじめてかもしれん……』 覚えがある声が、快楽の外から聞こえてくる。 心なしか上ずった声だが、それでもどこか冷静な言葉はこの場に似つかわしくない。 「おい……っ」 『何だ』 「お前らも従者ってんならっ、少しは愛璃を手伝ったらどうだ……っ」 僅かに外でのやり取りの最中も、愛璃は夢中で身体を揺り動かす。 ぎゅっと愛璃を抱きしめると、しきりに飛沫をあげていた秘芯がひとところに落ち着く。 その代わりのの字や八の字を描くように、愛璃の膣中、一つ一つの凹凸に亀頭を擦り付けるように腰が揺れ動いて俺を責め立ててくる。 『……それも、そうだな』 お姉ちゃん、と言われていた妖精がひゅんっと愛璃の耳元に飛び立っていく。 『ったく、人使い荒いんだからよー』 『そ、そんなこと言ったらだめですっ、皆でお手伝いするんですっ』 『わー、きもちよさそー♪』 ……。 残りの三匹……いや、三人もご丁寧に喋ってくれた。 三人共に愛璃の身体に取り付いていき、それぞれが得意そうな、また一生懸命な、はたまた好奇心旺盛な表情を見せる。 愛璃の気持ちよさで忘れてたけど、これってやっぱり超常現象だよな。 いや、今は考えなくていいや。何せ、こいつらを愛璃にけしかけたのも俺だもんな。 『では、姫様』 「ふ、ぁっ、おねえ、ちゃんっ!?」 『……飛ばして、さしあげます』 四人の小人が、一斉にそのか細い舌で愛璃を舐め上げる。 両方の耳たぶ、背筋、そして俺からは見えないけど、多分、もう一つの窄まりまで。 「ひゃ、ぁっ! や、だ、だめぇっ!!」 『だめ、ではないはずです。身体が震えてらっしゃいますよ』 「そ、そんなぁっ、やだ、みみ、よわいの、よわいのぉっ!! ふぁ、ぁ、あ、きゃぅぅっ!! ぞくってくる、ぞくってくるよぉっ!!」 小人さん達は俺と愛璃の間には入って来ず、二人はぺたりと胸を合わせたまま。 そのままくしゃりと髪を撫で、ふるふる震える耳元に最後通告。 「愛璃……俺も、いくぞ?」 「あ……っ!」 下に敷かれたマットだかベッドだかのお陰で、無茶な動きでも心配無い。 俺は愛璃を抱きしめたまま、無尽蔵に腰を突き上げた。 「ふぁっ、ああっ、っ、あ、あ、あ、あ、ああっ! ひっ、っくぅっ、ん、んっ、んんっ! んぅぅぅううン!! っく、ぁ、としさんっ、としさぁんっ!!」 ずっ、ずにゅっ、ぢゅ、ぢゅ、ぢゅ、ぱん、ぱん、ぱんっ。 上、下、手前、奥。愛璃の全てを抉るように腰を揺り動かす。 子宮まで届く勢いで一気に突き上げると、ふるふると愛璃が身体をわななかせ始める。 「ひぁ、ぁあっ、あああっ、ふ、ぁ、あンっ!! や、く、くる、いっぱい、きもちいいの、くるっ……!」 「愛璃……っ」 「だ、だってぇっ、こんな、みんなの舌が、いろんなとこ……っ! そ、それに、それにそれにっ、としさん、はげし……っ、はげしいのっ!!」 繋がっている一点から伝わる絶対的な気持ちよさ。愛璃の膣中が一際ざわつき始めると、俺のモノも最大限に膨らんでそれに応える。 一緒に快楽の針を振り切ろうと、一心不乱にお互いを貪りあう愛璃と俺。さっき愛璃の口に出したばかりなのに、それと同じか、それ以上の快感が俺を絶頂へと駆り立てていく。 「っ、く! 俺も、もうっ!」 「んっ、んっ、ん、ぅ、っぁあああっ!! だ、だして、なか、としさん、このまま……っ!!」 「いいの……かっ!?」 「としさんのおいしいの、ンっ、こっちにもいっぱい欲しいっ! っ、あ、っくンっ!! だからいっぱい、いっぱいきて、いっぱい射精してぇっ!!」 言われなくても、密着した二人の身体は離れそうにも無い。何もかも飛んでいきそうな感覚が身体全体を襲ってくる。 俺が最も奥を目指して突き上げた瞬間、愛璃がきゅぅぅっと俺を締め付けた。 「っく、ぁ、ああ!!」 「ひぁ、ああああああああああああああああっっっっ!!!」 どくんっ!! がく、がくんっ!! 「く、ぁ、ぁああっ、愛璃……っ!!」 「や、やはぁぁあああああああああああああああぁぁぁあぁああっっ!! としさぁあああんっっっっ!!」 びゅるっ、びゅくっ、びゅるるっっ!!! びくっ、びくんっ、びくんっ!! 絶頂。 何もかもすっ飛ばして、二人が奥の奥で絡み合う。 「く……は、ぁ、ああ……っ、あつ……い、なか、あつい……っ!!」 どく……どく……どくっ……。 まだ、まだ出る。玉の中がカラになるくらい、ありったけを愛璃の中に放出する。 「ぁ……あ……ああ……っ、っく、とし……さ……んっ……」 まさしく全部の全部、全てを注いだとき、胸の中でくてりと愛璃が首をもたれ掛けてきた。 その拍子にごぷりと音を立ててペニスが膣中から抜け落ちる。 愛璃は気を遣ってしまったのだろう。それと同じ快感を貰ってしまった俺も気を失っていないだけで、同じように指先一つも動かせない。 「っ、あ!」 それでも身体は変化を感じる。 脊髄反射で情けない声が出る。 今まで繋がっていたそこに、元気な妖精たちが群がっていたからだ。 『……綺麗にしなくては、な』 「なっ、おま、えら……っ」 もう、はっきりと4人は女性の形を模っていた。愛璃と違うのはその身長と、背中から生えているちみっちゃい羽根だけ。 筆頭とやらの言葉を皮切りに、それぞれまんざらでもない、おどおど、興味津々という目線が俺のモノに投げかけられる。 『お前ら二人で満足するのもいいんだけどさ、あたしらだって腹ぁ減るんだよね』 『ごめんなさい……でも、あの、その……まだ、震えてて、中に溜まっていそうですから……』 『んぅー、姫様のと混ざって美味しそうー』 「お、お前らな、ちっと落ち着け……っぁ!」 二人の液体でぬるぬるてらてらとしているそれに、四人が身体をすり寄せてきた。 今までと同じような舌の動き。一つ一つの刺激がが小さいからか、もの凄く丁寧に感じ取られる。 『んぅ……っ、さすが……濃い、な』 『っちゅ……っ、っく、こくっ、ん、っン……っは、喉を通り越しても中で踊ってる感じだ……』 カリ首を丁寧に舐め取られ、鈴口から滲む残滓を飲み干される。 『っぁ、姫様のと混ざって、複雑な味……』 『あーっずるいーっ、ボクにもボクにもっ』 その下ではゆるやかに身体全体で竿を扱かれ、シーツに垂れ落ちる液体まで彼女たちの唇に吸い込まれていく。 そんな刺激を丁寧に感じとっちまってる俺のソレ。 ……嘘だろ、なんで大きくなるっ。もう三回目だぜ? 「あ……のな、もう、いい加減、やめろ……っ、これ以上はっ」 『……これ以上されたら、また射精したくなる、か?』 「っぁ!」 何せ、幸せそうな顔をして、微かな寝息を立てている愛璃はまだ俺の腕の中だ。 そんな彼女を放り出す訳にも行かず、俺は身じろぎ一つも出来ない。 それを良い事に、4人の行為はどんどんエスカレートしていく。 『出してくれ。貴殿も快感が得られるならば双方の得になるだろう』 『悪いけど、あたしらにはちょっと足りないみたいなんだ。もう一踏ん張り頼むわ』 『あ、あの、お願いしますっ、出して、ください……っ』 『んふー、なんだ? またしゃせーしてくれるのか?』 もう何がなんだか判らない。ただ微かな水音がひっきりなしに伝わってくるだけ。 気持ちいい? 食われてる? 射精? ああっもうっ!! 「ん……ぅ……とし、さぁんっ……」 「っ!!」 ぶるっと腰が戦慄く。 寝言か、それとも意識しての言葉か判らない。けど、そんな甘ったるい愛璃の言葉が俺を確実に揺さぶった。 「っぁ……っ!!」 びゅる。 びゅくっびゅくっびゅくくっ!! 三回目とは思えない程の律動。吹き出た精液が彼女達の身体に降り注いでいく。 強制的に引き出された快楽の中で、満足そうにお互いの身体を舐めあう4人が目に映っていた。 ……。 翌朝。 うん、朝だ。今は朝に違いない。 カーテン越しに日本のお日様が東南角の部屋に降り注ぐ。うん、日当たりだけが取り得だもんな、この部屋は。 「んぅ……あ……おはよ……としさぁん……っ」 けど、この状況、夢にしちゃ酷い演出だと思うんだ。 傍からはトーストの焼きあがる香り。玉ねぎを炒った残り香はコンソメスープかな。 で、ベッドの上には裸のまま抱き合って朝を迎える二人。それが昨夜会ったばかりの、しかも記憶を辿れば人間そっくり、だけど人外確定の生物。 うん、出来すぎだ、出来過ぎだっての!! 「ようやく目を覚ましたか、俊殿。有り合わせだが朝食を作っておいた。食べるといい」 魔法だか何だかで生まれたシーツを撥ね退けて身を起こすと、そこにはエプロンをかけた筆頭従者さんだか何だかの人。 そう、昨夜とは違い、真人間と見間違うような身長になった彼女は、ストレートジーンズに飾り気の無いタンクトップという格好で、更にエプロンを着こなして丁寧にマーガリンをトーストに塗っている。 はは。つーことは残りの3人も…… 「あ、おはようござい……っ!! あ、あの、そのっ、え、えと、ごめんなさいっ!!」 「わー、朝立ち朝立ちー、お兄さん元気ー♪」 「ようやく起きたと思ったら……あーったくもう、いいからその生理現象何とかしろ、つーかシャワー浴びて来いって」 ビンゴ。どう見ても人間です。本当にありがとうございました。 あー、夢でも幻でも何でもないってことだよな。つーか実際、俺の腰は半ば感覚が無い訳だし。 特に腰の痺れは、脳内で甦ってくる俺と愛璃の痴態に直結してくる訳で。 結構恥ずかしい。いや、物凄く恥ずかしい。 ああ、もう混乱っつーか錯乱っつーか。頭と腰が現実についていけない。 愛璃を中心にして、俺の周りで何かが強引に始まっちまった、そんな気がした。 「んぅー、としさん、しゃわー……」 「一人で行けっ!!」 |