「桎となった純白の羽根が 黒翼に抱かれ空を舞う」

AIR ARRANGE ALBUM 編集後記。

注1:このページは解像度800x600以上を推奨致します。
注2:また、アルバムをお聞きになった後に見ていただく事を強く推奨致します。
注3:AIRについてのネタばれ発言を含みます。万一、AIRをやっていない方は閲覧しないようにお願いします。



まず始めに。
このアルバムを手にとり、そして聴いて下さった方々、誠に有難うございます。
今回も、なんとか1枚のアレンジアルバムを完成させる事が出来ました。かなり難産だったこのCDですが、自分の全てをこの一枚にたたき込んだつもりです。

アレンジアルバムは、私がこの「AIR」という作品を読み、見、聴いたときの自分の感情を、音楽にして表したものです。
1枚のCDの中で、あの壮大なストーリーが少しでもフラッシュバック出来たら、観鈴が、神奈が、翼の欠片が目の前に舞い降りてきたら、と思った時が創作開始の合図でした。それから頭の中でストーリーを何回もリフレインさせ、音楽的な遊びを仕入れ、自分の中で煮詰めていった結果、「桎〜」の形が徐々に出来ていきました。
生音系、特にオーケストラ調アレンジが多いのは、私が模倣できる曲の中で最も表現の強弱を表せる事が出来るジャンルだからだ、と思っています。逆にいえば、これしか無いんですけどね。

このCDを聴いた皆様の心に響くものがひとかけらでもあれば、幸いと思っています。
また、原作の製作に関わった全てのKeyスタッフに、感謝。心から、感謝。


CDタイトル名と、曲名。
自分でも大胆な事をしたなー、と思ってます(^^;
んでも、逆にいえば、ここからアレンジが始まっているものとして。
タイトルを見た時から曲の雰囲気を考えたり、またアレンジ曲を聴いた後にタイトルを見て、「なるほど〜」となったりするとツボかな、と(^^;
各曲のタイトルに関しては、次の文に回すとして、アルバムタイトルについて少し。

良くある事ですが、漢和辞典を引いていた時に「桎」の文字を発見したのが第一歩でした。
そこに、最初から観鈴と住人の情景としてテーマにしようとしていた「羽根」「黒翼」を取り入れ、完成。えぇ、元から「どうせなら長いタイトルにしてやろう」と(笑)
んで、ジャケットは神奈ね〜、と絵描きのなっと@瑞也に頼み、デザインまでしてもらってこうなりました。

…神奈を脱がせたのはおいらじゃないんじゃよー!!
全てはなっと@瑞也の陰謀じゃよーー!!!!

と本人に言ったら二言三言。
「『微にしてくれない?』って言ったのHatsuさんじゃないですか」
「誰が見ても、『あぁ、Hatsuさんだから』って納得してくれますよ(にや」

…確信犯ナリ。こやつ。
御礼としてぷにマスターの称号をキミにプレゼントだだだッ!!!

及び、インレイの各絵を書いて下さった御心惟さん、Yasさん、紙袋さんに感謝。
各絵を編集して、インレイ面に組み合わせてから気付いたんですけど、美凪のモノローグとみちる。なんかオチになってますね(^^;
このみちるの隠れ方は、とあるCDのパクリです。Thanks!(笑)


Trk.01 野道に、足跡ふたり。
何気ない日常に隠れた翼。それを拾う者と、それを探す者。
ふたりが出会ったときに、羽根は確実に翼へと。

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物語にプロローグが必要なように、アルバムにも序曲を、と。ここらへんはKanonアレンジアルバム、「翼の向こう」と同じ構成です(^^;
元々がピアノの曲なので、それを包むように管弦楽を挿入してみました。
完成曲を後々に聴いてみて、「雛鳥の囀(STUDIO B-ROOM)」を思い出してしまったおいらはダメダメなのでしょうか?

Trk.02 地に縛られた鳥の詩
「飛べない翼に、意味はあるのでしょうか?」
その翼を見る瞳には、確かな意味があると思うのに。

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今回唯一、生音系以外の音を使用した曲です(^^;
及び、原曲のコード進行を一発無視してます。がぉ。ここらへんは自分流(^^;;;;
さらにちょっとだけ瑠璃子さん。雰囲気だけとはいえ、これは遊び以外の何物でもありません(^^;;;;;;
エクスパンションボードのドラムの音色は本当に多彩です。ここまで強弱がはっきりして、しかも生きた音を出してくれると好き放題やりたくなります。あと、3連符のキメは自分内でのお約束です。げたぱむー!(笑)

AIRという作品、いつからか脳裏でこういう声が聞こえて来るんです。

「えいえんはあるよ」

それを思うと、こういう曲になりました。Ambientな音を出だしと最後に持ってきたのは、そういう表現が少しでも出来たら、というところから来ています。

Trk.03 水たまりに透ける肌
カットジーンズにノースリーブは反則。
さらに川に落っこちて肌が透けるなんて危険球退場です(爆)

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というわけで佳乃りん。ジャズ調に転身させてみました。極力楽器数を絞って、大人しくてちょっと洒落たジャズを下手なりに目指しています。クラリネットが佳乃?ギターが住人?ミュートトランペットが聖さん?そしてベースがぽてと?
…なーんて自分で想像しつつ、楽しく、楽しく。

Trk.04 虹色の桟
「…じゃんっ」
からかわれてるのか?俺?

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となりそうな美凪。えぇ、あのBADEDへの選択肢は唖然としましたさ!
いかんのか?そういうことをねだっちゃぁいかんのかッ!?
こ、こーやって俺を悩ませるんだ!煩悩の淵に叩き落すんだKeyスタッフはッ!

……逆襲。
戸越てごめ。
1.音楽で人を我が物にすること 2.音楽で女性を我が物に・・・
…いいのか俺(ぉ

…曲のほうは、もういじくりようが無いと思ってしまったのでこんな感じです。
6/8の曲って難しいです。他にやりようが無いんですよ〜。おまけに最高音出せー!ってオーボエに無理言ってるし(^^;
でも木管楽器って、優しい、温かみのある音をしてますから美凪にはぴったりかな、と。
せっかくだから、オーボエ奏者に聞いてみましょう。作曲者に一言、何かありますか?

「…へっちゃら……」

Trk.05 てんとう「にょめれっち」虫っ!
にょめっ!にょめっ!にょめっ!
もー、あの顔が忘れられなくて。

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唯一無二、傍若無人のお騒がせ娘のみちるです。しかもそれに輪をかけて原曲がOMYのコラージュで遊んでるもんだから(^^;、俺も遊ぶだけ遊んだれー!!と思い、傍若無人にヤりまくってみました。
サックス大暴れ、ドラム大暴れ、途中のソロで皆が皆大暴れ!という感じで、とにかく住人に「ごんっ!」とやられ、「にょめれっちっ!」となってるみちるの顔がいつでもどこでも見えるように、4分半強、全て大暴れで突っ走ってみました。
9曲の中で最初に打ち込み始めたんですが、次第に「…完成するのかよ、この曲…」と自分で弱気になったのを覚えています(汗。

Trk.06 桎に繋がれた理
千年もの間、桎となっていたものは理と呼べるのだろうか。
えいえんという理は、一体幾人の運命を弄んだのだろうか。

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見えない理に踏み込んでまで、観鈴を守ろうとした晴子。家族の絆という理と、翼という理。
なぜ、家族の絆という理がえいえんに続かないのか。
なぜ、見えない翼が観鈴を奪うのか。
これを悲劇と言う一言で片付けられればどんなに幸せか…!

ここからは、AIRというストーリーに密着し、またAIRという曲をアレンジしようとしたオーケストラ調の曲が続きます。
このTrk.06は、観鈴編のラストを描こうとした曲です。「なんで雨が……!」と、夏祭りのシーンを演出した『雨』を、ONEから拝借し、理を繋ぐものとして挿入しました。
でも、弦楽器の扱いに慣れていないのはちょっと困り者です。今回もビオラの音色で悩みに悩みました。

Trk.07 黒翼の神薙は、白翼の絵空事。
人々の私欲によって、家族の絆を断たれた翼がひとつ。
そして、えいえんの苦しみまで背負った翼は、空を舞い、消えた。

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正体の見えない「敵」に命を狙われる柳也、神奈、裏葉。
そして、その翼を拾う観鈴。
「絵空事」は、そのようなストーリーを描きたくて挿入した曲です。
逆に「神薙」は、もうどこが神薙やら、何が神薙やら(^^;
Xylophone(木琴)の「タン、タン、タン!」が神薙です。そうに決まってます(汗
そのXylophoneをテーマに、肉付けしたらこうなってしまったんですよー…
こんな曲でも、臨場感と緊張感を表せていたら良し!なんですが、そこまで出来ましたでしょうか?…

Trk.08 夏影に月童の夢を見る
傷ついた翼を見た少女は、自分にこう言った。
「私が全部、拾ってあげる」

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純白の羽根を、ひとつ、またひとつと拾っていく観鈴。
そこに蘇る記憶と、観鈴の母性。そして飛び立とうとする翼の「詩」がこの曲の原図となっています。
前回の「翼の向こう」のラスト、「夢の跡」と同じか、またはそれ以上のモチベーションで打ち込んだ記憶があります。
完成した曲は、実際にプレイした時の感情をそのままにぶつけたものになったかな、と自分では思っているんですがどうでしょうか。

Trk.09 青空の回想録 -Farewell song-
理と言う桎を断った純白の羽根が空を舞う。
そして、理によって黒く染まった翼は、地上に、舞い降りる。

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やっぱり、物語はHAPPY ENDでなくちゃ。
ただ痛いだけのエンディングなんて、後味が悪いだけ。
そりゃ、鴉は死神の使いともされるから、その結末は予想していたけど。
でも、HAPPY ENDじゃないといけないと自分の中では思うわけで。

…ゴールの先は、何だったんでしょうか。
このアレンジアルバムで、45分かけて表現したかった事は、これだと思います。
それがHAPPY ENDなら。
…だからと言っては何ですが、ジャケットが神奈なんです。ヒロインの、神奈なんです。

曲は、AIRを代表する2曲に、HAPPY ENDの証として「Farewell song」を挿入する形です。
また、アルバムを作ろう!とした時から、締めは絶対に「回想録」だと決めてました。
ほんの一かけらの羽根が遺した傷痕を、千年の果てにいつか回想録のように思える日が来たら、それがこの物語のエンディングだと思います。

その思いと共に、アルバムも「ゴール・・・・っ」。

企画・製作:M-Groove!
アレンジ:Hatsu(http://www.beta.or.jp/~hatsu)
ジャケットデザイン:なっと@瑞也(http://www3.famille.ne.jp/~mizya/)
インレイデザイン:
観鈴:御心惟(http://www.mirai.ne.jp/~a-miura/sowaka/)
美凪:Yas(http://tsubaki.sakura.ne.jp/~chauncey/yas/)
みちる:紙袋(http://plaza24.mbn.or.jp/~kamibukuro/)
CG協力:VisualWorkStationhttp://www.tea-room.ne.jp/~mind/vws/)
CDプレス:デスカルガ(http://www.descargadisc.com)

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